Green Walk
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2023-03-04

渋谷・原宿キャットストリートのインビジブル・グリーンを巡る | Invisible Connections #1

キャットストリートの緑は実はエディブルガーデンだった

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渋谷キャストを玄関口とすると、原宿方面まで続いていく通称キャットストリートは、ファッション・カルチャーの発信地として、若者からハイセンスな人々までを魅了し、メディアでもしばしば取り上げられる。

そんなハイセンスなショップに目が移ろうストリートの中でも、街路樹や花壇などグリーンに着目する機会は少ないかもしれない。実は、キャットストリートにある花壇は、周辺地域の人々によって維持管理されていて、そこにはりんごやハーブといった「エディブル(=食べれる)・グリーン」も多いという。都心の中心で、普段想像できないようなコミュニティがあるようだ。

今回は、花壇の管理に長く関わっているお一人の小野慶子さんと地域のローカル・グリーンを巡った。そこから見えてきた、インビジブルなローカル・グリーン(=地域の見えないみどり)の姿を、紹介していきたい。

川から公園へ。キャットストリートの原型

この辺りは、今では信じられないが、渋谷川(穏田川)が流れる農村エリアだったという。その後、周辺の民家からの生活排水で汚染が進んでいた渋谷川を、1960年代に暗渠化(川の上に蓋を被せるよう通路にする)し、今の原型ができたよう。

当時まだこの辺りには多くの子どもたちがいたようで、子どもたちの遊び場をつくろうと、滑り台やブランコ、砂場などの公園空間ができていった。その公園に、野良猫が集まってきて、「キャットストリート」という通称がついたという説があるそう。

明治13年(1880)〜明治19年(1886)頃 第一軍管区地方2万分1迅速測図原図(部分)
所蔵:国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構

インビジブル・グリーン・ウォーク

ーみどりを巡る10のスポット

公園空間が進んだキャットストリート。今回は、ストリート内にある花壇の管理に現在関わっている方とともにグリーン・ウォークをおこない、地域のみどりを巡った。よく眺めて歩いていくと実に多様な植物があり、中には、ハーブやりんごといった食べられるものまであるようだ。普段何気なく歩いていると気づかない、まちのみどりの面白さが見えてくるかもしれない。

スポット①:にんにく畑

渋谷キャストからキャットストリートに入った花壇には、にんにくが植えられている。

スポット②:二叉路にまたがる夏ミカンの木

ストリートを二叉路にまたがる三角地帯の中央にあるには、たくさんの果実をつけている夏ミカンの大きな木。みどりを眺めながらキャットストリートを歩いていると必ず目に入ってくるシンボルツリーのような存在。その隣にはキンモクセイの木が寄り添う。この夏ミカンをどのように使えるか、アイデアはふくらむばかり。階段を登って香るのもおすすめ。

スポット③:香り豊かなエディブル花壇 紫蘇とミントとティーツリー

冬の季節に巡った花壇には紫蘇がまだまだ残っていた。共に同じ花壇で育っているのは、ミントや、アロマでも人気のティーツリーといったハーブだという。ティーツリーにそっと触れれば、良い香りがしてくる。周りのお店でアロマオイルも手に入るだろうし、その植物自体もここで育っているのが面白い。地域の人たちからすると、少しボサボサになっているので整えたいと思っているそうだ。

スポット④:「キャット」ならぬ「アップルツリー」ストリート

キャットストリートには20本以上のりんごの木が植わっている。りんごの品種は秋映(あきばえ)とシナノゴールド。春になるとピンク色に咲く花がとても綺麗で、桜に劣らないほど。3〜4月に花が咲いて、ゴールデンウィーク頃に受粉をして、6〜7月に摘果(果実がつきすぎた場合に余分のものを幼いうちに摘み取ること。)5つ付いている青い実を1つにするなど、地域みんなでお世話をして、8月の終わりには収穫。その日のうちに長野・座光寺の農園に送って、シードルを作っている。

ここにあるリンゴの木は、実は下の方のコブの部分で接木をしている。大木になるりんごの上に、別の小さなりんごを植樹すると、細い小さなリンゴができて、1〜2年で採り始められるそう。大きいものは結構育つまでに時間がかかるため、うまく使い分けて収穫量を保っている。

スポット⑤:りんごの木とアジュガ

りんごの木の下には、アジュガという春にはヒヤシンスのような紫色の花がたくさん咲く植物が植わっている。これは花壇の土のグランドカバーの役割にもなっているとのこと。

スポット⑥:万年草

花壇の下の地面にこっそり生えている草は、万年草という。冬でも緑なのが特徴。

花壇にも生えていて、これは花壇の土が飛んだり、ダンゴムシの侵入を防いだりしてくれる。

地面に生えているのは、実は花壇に生えていたものが下に落ちて広がったもの。本来は、ハサミでバラバラにしたりして広げたり、小さなねプランターで育ててから埋めてあげることでもできるけれど、こうやって落ちて自然に広がっていくのも面白い。

スポット⑦:成長を任せているミントとローズマリー

りんごの木の下にはミントやローズマリーが広がる。ミントは多めに残しているようで、切ってしまえば綺麗になるけれど、自然に任せているとのこと。

スポット⑧:渋谷区保存樹木たちが集まる穏田神社

かつてはこの辺りの地名は「隠田」で、現在の地名「穏田」に変化したという。穏田神社はこの地の産土神として古くより信仰されてきたといいます。

その古い歴史から、さくら、いちょう、ケヤキなど、渋谷区の保存樹木が荘厳に立ち並びます。

秋にはたくさんの小粒の銀杏が落ちて、地域の人は、お掃除しながら少し食べてしまうこともあるそう。社殿の両側には、紅い花と白い花を咲かせる梅の木が彩る。

スポット⑨:TRUNK HOTEL

TRUNK HOTELのお庭に生えているなんとも不思議な形の植物。トゲトゲしていて、ついつい気づくと触ってしまいます。TRUNK HOTELには他にも面白い植栽がたくさんあります。

スポット⑩:坂道の横のさくら

渋谷キャストから少し歩く場所にある坂道の横には、さくら吹雪が舞う桜の木。毎年地域の方々は楽しみにしているようで、散歩する時には必ず寄りたくなる場所のようです。以前は、手前にももう一本あったけれど、いつの間にか引退されたのだとか。

ちょうど良い管理がされた花壇

キャットストリートの花壇を巡ってきて印象的だったことに、”ちょうど良い”管理がなされているところであった。花壇の管理というと、時々見るのが、季節に応じて、土を全て掘り起こして、花を植えて、また季節が過ぎれば、土を掘り起こしてという育て方。こうした方法への違和感もあり、ハーブや育てやすく、2年でも3年でも多年でいける植物を植えているとのこと。一部の空いてるところには球根とか、季節の植物を植えるが、土を捨ててまで見た目を綺麗にする必要はないのでは、という考え方のようで、水やりも楽になるそうだ。

地域の人々に引き継がれるみどり

案内していただいた小野さんが所属するのは、渋谷川の由来を名前につけた「渋谷川遊歩道花管理班」。この地域は、2つの町会と2つの商店街で、4つで成り立っており、地域全体で話し合い、協力し合って管理をしているとのこと。

一方で、暗渠化されてから数十年が経ち、周辺には流行りのお店やビルができてきた地域で、シニアの方たちも増えてきたとのこと。そうした中で、小野さんも花壇の管理を引き継いだ一人。若い人たちとの協力もどんどん図っていきたいそうだ。

キャットストリートはグリーンカルチャーの先端かもしれない

「うちは苗を作ったり、花を育ててたりして、無人販売にしています。」小野さんは、自ら育てた植物を販売したり、実際にキャットストリートの花壇へも植えていたりもするそう。

ストリートで育てたリンゴでシードルを作ったり、地域の管理する市民が自ら植物を育てて花壇を彩ったり、普段歩いているだけでは気づかない、キャットストリートの見えない一面が見えてくる。

地域の植物で、地域の人たちが育てて、共生したり、使ったりする、ローカル・グリーンの循環は、世の中で大声で叫ばれる環境パフォーマンスなんかより、身近で、誰もが関わることができる日常的な行為のように思える。

キャットストリートの花壇管理に関わる小野慶子さん

川から公園へ。キャットストリートの原型

この辺りは、今では信じられないが、渋谷川(穏田川)が流れる農村エリアだったという。その後、周辺の民家からの生活排水で汚染が進んでいた渋谷川を、1960年代に暗渠化(川の上に蓋を被せるよう通路にする)し、今の原型ができたよう。

当時まだこの辺りには多くの子どもたちがいたようで、子どもたちの遊び場をつくろうと、滑り台やブランコ、砂場などの公園空間ができていった。その公園に、野良猫が集まってきて、「キャットストリート」という通称がついたという説があるそう。

明治13年(1880)〜明治19年(1886)頃 第一軍管区地方2万分1迅速測図原図(部分)所蔵:国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構

インビジブル・グリーン・ウォーク

ーみどりを巡る10のスポット

公園空間が進んだキャットストリート。今回は、ストリート内にある花壇の管理に現在関わっている方とともにグリーン・ウォークをおこない、地域のみどりを巡った。よく眺めて歩いていくと実に多様な植物があり、中には、ハーブやりんごといった食べられるものまであるようだ。普段何気なく歩いていると気づかない、まちのみどりの面白さが見えてくるかもしれない。

スポット①:にんにく畑

渋谷キャストからキャットストリートに入った花壇には、にんにくが植えられている。

スポット②:二叉路にまたがる夏ミカンの木

ストリートを二叉路にまたがる三角地帯の中央にあるには、たくさんの果実をつけている夏ミカンの大きな木。みどりを眺めながらキャットストリートを歩いていると必ず目に入ってくるシンボルツリーのような存在。その隣にはキンモクセイの木が寄り添う。この夏ミカンをどのように使えるか、アイデアはふくらむばかり。階段を登って香るのもおすすめ。

スポット③:香り豊かなエディブル花壇 紫蘇とミントとティーツリー

冬の季節に巡った花壇には紫蘇がまだまだ残っていた。共に同じ花壇で育っているのは、ミントや、アロマでも人気のティーツリーといったハーブだという。ティーツリーにそっと触れれば、良い香りがしてくる。周りのお店でアロマオイルも手に入るだろうし、その植物自体もここで育っているのが面白い。地域の人たちからすると、少しボサボサになっているので整えたいと思っているそうだ。

スポット④:「キャット」ならぬ「アップルツリー」ストリート

キャットストリートには20本以上のりんごの木が植わっている。りんごの品種は秋映(あきばえ)とシナノゴールド。春になるとピンク色に咲く花がとても綺麗で、桜に劣らないほど。3〜4月に花が咲いて、ゴールデンウィーク頃に受粉をして、6〜7月に摘果(果実がつきすぎた場合に余分のものを幼いうちに摘み取ること。)5つ付いている青い実を1つにするなど、地域みんなでお世話をして、8月の終わりには収穫。その日のうちに長野・座光寺の農園に送って、シードルを作っている。

ここにあるリンゴの木は、実は下の方のコブの部分で接木をしている。大木になるりんごの上に、別の小さなりんごを植樹すると、細い小さなリンゴができて、1〜2年で採り始められるそう。大きいものは結構育つまでに時間がかかるため、うまく使い分けて収穫量を保っている。

スポット⑤:りんごの木とアジュガ

りんごの木の下には、アジュガという春にはヒヤシンスのような紫色の花がたくさん咲く植物が植わっている。これは花壇の土のグランドカバーの役割にもなっているとのこと。

スポット⑥:万年草

花壇の下の地面にこっそり生えている草は、万年草という。冬でも緑なのが特徴。

花壇にも生えていて、これは花壇の土が飛んだり、ダンゴムシの侵入を防いだりしてくれる。

地面に生えているのは、実は花壇に生えていたものが下に落ちて広がったもの。本来は、ハサミでバラバラにしたりして広げたり、小さなねプランターで育ててから埋めてあげることでもできるけれど、こうやって落ちて自然に広がっていくのも面白い。

スポット⑦:成長を任せているミントとローズマリー

りんごの木の下にはミントやローズマリーが広がる。ミントは多めに残しているようで、切ってしまえば綺麗になるけれど、自然に任せているとのこと。

スポット⑧:渋谷区保存樹木たちが集まる穏田神社

かつてはこの辺りの地名は「隠田」で、現在の地名「穏田」に変化したという。穏田神社はこの地の産土神として古くより信仰されてきたといいます。

その古い歴史から、さくら、いちょう、ケヤキなど、渋谷区の保存樹木が荘厳に立ち並びます。

秋にはたくさんの小粒の銀杏が落ちて、地域の人は、お掃除しながら少し食べてしまうこともあるそう。社殿の両側には、紅い花と白い花を咲かせる梅の木が彩る。

スポット⑨:TRUNK HOTEL

TRUNK HOTELのお庭に生えているなんとも不思議な形の植物。トゲトゲしていて、ついつい気づくと触ってしまいます。TRUNK HOTELには他にも面白い植栽がたくさんあります。

スポット⑩:坂道の横のさくら

渋谷キャストから少し歩く場所にある坂道の横には、さくら吹雪が舞う桜の木。毎年地域の方々は楽しみにしているようで、散歩する時には必ず寄りたくなる場所のようです。以前は、手前にももう一本あったけれど、いつの間にか引退されたのだとか。

ちょうど良い管理がされた花壇

キャットストリートの花壇を巡ってきて印象的だったことに、”ちょうど良い”管理がなされているところであった。花壇の管理というと、時々見るのが、季節に応じて、土を全て掘り起こして、花を植えて、また季節が過ぎれば、土を掘り起こしてという育て方。こうした方法への違和感もあり、ハーブや育てやすく、2年でも3年でも多年でいける植物を植えているとのこと。

一部の空いてるところには球根とか、季節の植物を植えるが、土を捨ててまで見た目を綺麗にする必要はないのでは、という考え方のようで、水やりも楽になるそうだ。

地域の人々に引き継がれるみどり

案内していただいた小野さんが所属するのは、渋谷川の由来を名前につけた「渋谷川遊歩道花管理班」。この地域は、2つの町会と2つの商店街で、4つで成り立っており、地域全体で話し合い、協力し合って管理をしているとのこと。

一方で、暗渠化されてから数十年が経ち、周辺には流行りのお店やビルができてきた地域で、シニアの方たちも増えてきたとのこと。そうした中で、小野さんも花壇の管理を引き継いだ一人。若い人たちとの協力もどんどん図っていきたいそうだ。

キャットストリートはグリーンカルチャーの先端かもしれない

「うちは苗を作ったり、花を育ててたりして、無人販売にしています。」小野さんは、自ら育てた植物を販売したり、実際にキャットストリートの花壇へも植えていたりもするそう。

ストリートで育てたリンゴでシードルを作ったり、地域の管理する市民が自ら植物を育てて花壇を彩ったり、普段歩いているだけでは気づかない、キャットストリートの見えない一面が見えてくる。

地域の植物で、地域の人たちが育てて、共生したり、使ったりする、ローカル・グリーンの循環は、世の中で大声で叫ばれる環境パフォーマンスなんかより、身近で、誰もが関わることができる日常的な行為のように思える。

キャットストリートの花壇管理に関わる小野慶子さん

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Invisible Connections

まちのみどりとのいい関係

「まちの中の見えないつながりを可視化する」ことをテーマに、渋谷のまちのみどりについて触れ、学べる体験プログラム。

気候変動や温暖化など地球の未来への大きな課題がうたわれる中、私たちの「まち」では何ができるでしょうか?これからのまちづくりや地域づくりにおいて大切な価値観は「人間以外も含めたまちづくり」の視点を持つことではないでしょうか?

今回の取り組みでは、その土地のみどりの資源を活用し循環させる方法を来場者と共に考え、学び合う場を提供します。

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